ねこのの。〜血と汗と川辺の決闘〜

   


ギラギラと照りつける太陽の下。

そんな太陽にも負けないくらいの熱い戦いが繰り広げられていた――。

「みのり……覚悟はいい……?」

あまりの暑さと熱さに、流れる汗すら蒸発しそうな気迫のはるねぇ。

「私に勝てると……思ってるの?」

神明さんも汗が止まらない様子。その汗は心理的なものも混ざってるはずだ。

「……次で――」

「――終わらせる……!」

空気が張り詰める。決着の時は近い。





「……いやー、若いっていいねぇ」

「その台詞で一気に老けましたね」

睨みあう二人の横で平和な会話をしているのは、俺と立秋さん。

「あっはっは、結城君は相変わらず厳しいねぇ」

「いえいえ、思ったことを正直に言ってるだけですよ」

傍から見てるほうも暑い。早めに決着がつくことを祈った。

俺の返事に棘があると思ったのか、

「ゆーちゃん……そんなに負けたのがショックだった?」

「……んなわけねーよ!」

……一瞬返答が遅れたのは、図星だったからではないと信じたい。



――現在の状況を確認してみる。

今日は暑かったので、午後から川へ遊びに行くことに。

メンバーは、俺とはるねぇ、丁度暇だった立秋さん、さらに神明さんも来ることになった。

場所はいつもの永野川。

立秋さんの運転で到着。さぁ着替えようとしたところで、はるねぇが突拍子の無いことを言い出した。




「ねぇねぇ、野球拳やろー♪」




これが全ての始まりだった。

「罰ゲームありなら」と乗り気になった神明さんに、「それも面白そうだね」と立秋さん。

俺に拒否権もあるはずがなく、急遽『罰ゲームつき野球拳』が開催されることとなった――。




ちなみに、ルールは以下の通り。

・4人でジャンケンし、負けた人が身につけているものを一つ脱ぐ。靴や靴下などもカウント。
・水着姿になったら脱落。優勝者が他3人に命令できる。



そして、立秋さんがあっさりと脱落。次いで俺が水着姿になったのに対し……

「……やっぱり不公平だ」

「えー、なんでー?」

「はるねぇは制服着込んで来てるし、神明さんのネコミミと尻尾は何なんですか!?」

初めから残りHPが違いすぎる。これは絶望的な差だった。

「だって、ルールを決めた時に何も言わなかったのはそっちだよ?結城君」

「でも、そんなもの持ってるなんて……」

「気づかなかった方が悪いんだよ、ゆーちゃん」

「何を言っても、もう負けてるからねぇ」

「やーい、負け犬ー」

ボロクソに言われる。

「……この手際の良さ……事前に打ち合わせしてたんじゃないか……?」

どちらにしろ、罰ゲームを受けることになった俺と立秋さん。

……嵌められた、と思わざるを得ない。



そんな俺をよそに、白熱した試合(?)を見せるはるねぇと神明さん。

そして、一進一退の末、お互いに水着まであと一歩という状態になっている。

次が最後の勝負だ。

「それじゃあ、行くよー!」

「はいはい、早く終わらせて……へぶぅ!?」

神明さん……拳骨大の石を投げないで下さい。その笑顔が怖いです。

「なにか言いたいことは?」

「……すいませんでした」

「素直でよろしい」

うんうん、と満足げに頷いて、はるねぇの方へ向き直る。

目線で合図。掛け声は同時だった。



「「じゃーんけーん!」」



ポン、と出されたのは、パーとチョキ。

「……よしっ!」

「あぅー……」

勝者、神明さん。




……正直に言うと、はるねぇに勝って欲しかった。神明さんの罰ゲームって、なんか……

「失礼なこと考えてる結城君。期待には応えてあげるから安心してね」

「って、心読まれた!?」

命が残ることを祈ろう……。






まず立秋さんへの罰ゲーム。これはあっさり決まった。

というより、

「おやつ奢るから、それでいいかい?」

と自分から提案した。

俺とはるねぇの分も奢ってくれるとのことで、無論、反対など無かった。

そして――

「結城君」

「……なんでしょうか」

気分は判決を待つ被告人。しかも有罪確定の。

神明さんは俺のそばへ寄ると、耳元で……

「――――」

……。

「……了解しました」

「えー?なになにー?」

興味津々といったはるねぇ。

「いや、これは……」

「榛奈には内緒〜」

「えー!?」

顔いっぱいに不満を表現するはるねぇ。分かり易い。

「そんなことより……榛奈の罰ゲーム発表するよ?」

神明さんは、満面の笑みで宣言した。

「榛奈は――」




……思考が停止した。

「うんうん、さすが榛奈。可愛いよ〜」

「うん、似合ってるねぇ」

「あぅー……恥ずかしいよ……」

俺の目の前にはネコミミがいた。

ネコミミ。尻尾。セーラー服。スクール水着。

……これは一体何なんだ?

「おや〜?お姉さんに悩殺されちゃったかな?」

ニヤニヤ、という笑みで俺の方を覗きこむ神明さん。

しかし、そんなことは俺には見えていなかった。

「……ゆーちゃん?」

はるねぇも俺の方を見る。

……まずい……もう、限…界……――。

「ゆーちゃん!!」

――この日、生まれて初めて貧血で倒れた。

姉のネコミミ姿で鼻血を出して倒れる……川島結城、一生の不覚だった。








後日談。

俺の罰ゲームは「俺とはるねぇの恥ずかしい話」を教えろ、とのことだった。

「……なんでそんな事……」

「罰ゲームだよ。男に二言はないよね?」

なんでも、はるねぇに弱みを握られてしまったとか、何とか。

初めからそれも狙って野球拳に賛同したのだろうか……。

「ぅぁ〜……何を話せばいいんだ……」

「ほらほら、あまーいラブラブ生活の1ページをさっさと暴露しちゃってね♪」

俺が何の話をしたのかはご想像にお任せする。……はぁ。

とりあえず、神明さんは満足したようだった。



ちなみに、『弱み』について。

もちろん教えてくれなかったが、聞きたがっていた話から想像すると――

「……彼氏のこと、とかですか?」

「答える義務はないよ」

笑顔で切り捨てる。……だが、怪しい。カマをかけてみようか……

「……そういえばこの前2人きりでキャンプしたとか――」

「――鼻血のこと、喋って欲しい?」

……どうやら当たりらしい。詳しくは知らないのだが、『弱み』と表現するくらいの出来事があったのだろう……。

「お姉さんの水着姿で鼻血。明日の朝刊の一面はこれで決まりだね」

「ゴメンナサイ。モウシマセン。許シテクダサイ」

どこにバラす気なんだ、この人は!?



――結論。神明さんは敵に回してはいけない。

俺は溜め息と共に、心に深く刻み込んだのだった――。



−了−

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はい、どーも。中二病作者です(何)

今回の「ねこのの。」祭に触発されて、3時間ほどで仕上げてしまいました。

「絵は書けないので、あえて文章で勝負しよう」

そう思って書きました。勢いで。(←ここ強調)

……内容は、MiniDraco様の絵がド直球で自分を貫いた為、一気に妄想してしまいました(死)

あの絵を見ながら妄想してくださいw

前作と同様、クォリティの低さについてはイジメないでくれるとうれしいです(涙)

ここまで読んでいただき、ありがとうございました(m _ _)m


最後に、MiniDraco様へ。

勝手に題材として使わせていただきました。申し訳ございません。

MiniDraco様の絵はとても好きなもので……ていうか、あれは反則ですよw

『シルフィードのアトリエ』頑張ってください。期待しつつ、応援させていただきます(m _ _)m






追記(念のためネタ解説)

『弱み』=はちがつのゆき。 で脳内変換してください。納得していただけるかと思いますw