まえおき。
えー、この文章を執筆させて頂いたDJ KIRA.-と申します。
まず初めに、この物語は「フィクション」です。筆者の脳内フィルターがかけられている部分も多々御座います。
あと、筆者は関西人なのでディズニーリゾートにはてんで詳しくありません。
稚拙な描写、不自然な描写等が御座いましたら、申し訳ありません。
気分を損ねられた方に対しては、取り敢えず全裸になってのガトリング土下座で許しを請いたいと思います。(何)

in 東京ディズニー・シー 〜導入編〜

けたたましい目覚まし時計のアラームに引っ張られ、目を醒ます。
見れば、まだ時刻は6時である。なんで休みの日なのにこんなに早くアラームをセットしているのか。今日が唯の休日ならば、このまま二度寝して惰眠を貪るのだが、今日だけはそういう訳にはいかなかった。
「ふぁー…、顔洗ってくっか。」
なぜならば、今日は例の眼鏡後輩とディズニーシーに行く予定を立てているからだ。
言っておくが、これはデートなどではない。ただ仲の良い異性と遊びに行くだけなのだ。
デートなどでは、決して無い。…決して。
「とか言っても、端から見ればデートなんだよな…、これ。」
一部の「むきりょくかん」ラーは既に祭り状態であるらしい。めがねこの時と言い、今回と言い、何故彼らは俺がちょっと女性と親しくしただけでこんなにも盛り上がるのだろうか。他にも娯楽はあるだろうに…。
『敢えて言おう。ただ楽しいからさ!君と彼女達のやりとりを見るのが、どうしようもなく楽しいからさ!ほら、今も前回の日記を見ながら2828している僕がここにいるよ!』
………今のは幻聴だろうか。幻聴だろう。なんだかんだ言っても忙しい毎日だ。幻聴の一つや二つ聞いてもおかしくない。きっとそうだ。
「さて、そろそろ行くことにしましょうかね。」
軽く朝食を胃に放り込み、玄関を出る。ふと空を見上げれば、苦笑いを一つ。昨日の予報では晴れと言っていたにも関わらず、空模様は生憎のご様子だ。何しろ、盛大に曇っている。
「今日に限ってこれか…、流石は俺。」
自慢ではないが、俺は自他共に認めるフラグブレイカーである。今回立ちかけている眼鏡後輩フラグを圧し折る為に、天が力を貸してくれているという事なんだろうか。
…アホらしい。ただ単に運が悪かっただけだろう。今から遊びに行くというのに、こんなことを言っていたのでは相手に失礼である。冗談でも独り言でも、口にするべきではない台詞だ。湧き上がる自己嫌悪を押し殺しながら、ディズニー・シー行きの専用車両が運行されている、舞浜駅へと向かった。

舞浜駅。ディズニーシーを含む、東京ディズニーリゾート全域を繋ぐモノレール「ディズニーリゾートライン」に隣接する駅である。舞浜駅の改札を出てすぐの所で、今回の動向人…、件の眼鏡後輩との待ち合わせの予定だったのだが。
「人、多。」
流石に土曜日ということもあり、多少は覚悟していたのだが、予想以上に混んでいる。
人の流れに逆らいながら待ち人を探していた、その時である。
「あー、閣下ぁ!こっちですよ、こっちー!」
…この人混みの中、手を振りながら閣下などと呼びかけるのは全力で辞めてもらいたい。物凄く気恥ずかしい。すれ違う人々の視線が突き刺さるように痛い。
「とりあえずだ。閣下と呼ぶのはやめい。」
つかつかと眼鏡後輩の元に歩み寄り、その脳天にギリギリ当たっちゃうチョップを繰り出す俺。天罰である。コノヤロー。
「いた、いたーい!何するんですか、閣下ー!」
「だから!閣下と呼ぶのはやめろと言うに!」
「えー?なんでですかー?いつも閣下って言ってるじゃないですかー。」
…よーく見れば、眼鏡後輩の口元が吊り上っている。こいつめ…わかってやってやがるな。仕方ない。後でもう一度天罰を与えるとしよう。
「そういえば吉村さん、どこから回るかとか決めてるんですか?」
…俺に対する2人称がようやくマトモになった。ああ良かった。
「決めてない。」
「ええー!ノープランですかぁ!?」
「何を言う。お主は何十回もあそこを訪れている猛者であろうが。プランニングは全て任せる。」
「うわぁ、他力本願ですねー。」
「うるせえやい。」
デートコースは男が決めるものなんですよー、とか散々言われたが、気にしない。向こうは年間パスで何十回も訪れている猛者なのだ。素人よりも玄人の方がより良いプランを立てられることは決まっている。だから、今回は初めから全て任すつもりでやってきた。
事前情報すら収集していない。素直に引っ張られる、それが素人たる俺の役割なのだ。
「まぁ、その…なんだ。頼りにしてるってことだ。」
自分で口にしておいて悶絶死してしまいそうな程にクサい台詞であったのだが、それを聞いた眼鏡後輩は何故か俯いてしまった。何故だろう、マイナスに取られる台詞ではなかったように思うのだが。
「むう…、仕方ないですねー。それじゃ、この私が直々に案内して差し上げましょー!」
ついさっきまで俯いていたにも関わらず、突然「がばぁっ」という効果音がとても似合いそうなほどに勢い良く踵を上げる眼鏡後輩。えらくテンションが上がってるように見えるのは気のせいだろうか。
「それじゃー、行きますよー。こっちですよー。」
とか言いながら、俺の腕を掴んで引っ張っていく眼鏡後輩。
「へい、連行されます。」
抵抗などしない。した所で、俺が迷子になるなのだから。
引っ張って行かれるのも心地よいものだなぁ…、などと意味不明な感想を思い浮かべばながら、ディズニー・シー行きの列車に足を踏み入れた。