あきのの。〜兄の疑惑〜


おれは、果たして何を。

コンッコンッ。
「お〜い、二人とももう夕飯だぞ。」
何年かも前に、我が家にやってきた妹いわくゆーちゃんの部屋のドアを叩く。
いつもどちらかのへやに、一緒にいること(どちらかというと、妹のほうが誘っている)が多い二人なので、
どちらかの部屋に行けば大抵いる。
今日もまた同じように、呼びに来たつもりだった。

それが、こんなことになるなんて、想像もしなかった。

「っあ、んふぅ、くっ……あっ、うん、そ、そこを、ひゃぁ、き、きもちいぃ……」
「はるねぇ、そんな声出すなよ。」
「だってぇ、そ、そんな、んっ、ふぁ、あっ、ゆ、ゆーちゃんが、あっ。」
「何だよ。」
「う、上手いんだよぉ。」
「そうか?自覚無いんだけどな。」

………っは。な、なんだ今の声は。驚いてお兄さん今少しトリップシタヨ。
ハハハ、コレハ何カノ冗談ダヨナ、ハハハ。

「うくっ、っっぅぅあああ、ふぅーーー、はぁ、はぁ、す、すごいね。」
「どう?状態は。」
「うん、よかった。またお願いね。」
「どういたしまして。」

どうやら終わった模様です。早急に立ち去らなければ……、って、夕飯を呼びに来たんだっけ。
でも、この後じゃあなぁ……。気まずいなぁ。

「ちょっと、早く呼んできなさいよ。」

下から、母さんの呼ぶ声がする。どうやらかなりのご立腹のよう。
しょうがない、ここは恥ずかしいが…、

コンッコンッ
今度は強めに叩いた。そのおかげか、
「っひゃ、だ、誰?」
「…あー、俺だ。」
「あ、お兄ちゃん。どうしたの?」
「ああ、夕飯できたから、早くしたにこいよ。」
「うん、わかった。」

やっと伝わった。しかし、榛奈も元気になったもんだ。ほんの数ヶ月前とは、まったく違う。
少しのことで崩れ、少しの不幸で倒れ、少しの悲しみで消えていきそうな、
けど本人はそんな素振りを見せず、生きていた。ああ、たくましくなったんだな、と思った。
そんな妹の成長を見て、俺も果たして変わっているのだろうか。
昨日の俺と、過去の俺と、比べても胸張っていられるかどうか、わからない。
けど、俺は…。

ああもう、やめよう。俺にはこんな考えをする人間じゃないはずだ。
常に、農業のために働いているはずだ。
けど、俺には、嫁おろか、恋人すらいない。この前の夜だって、母親は俺の顔を見て、ため息をついた。
ものすごく惨めだった。くそう、俺だって、本気を出せば、一人や二人なんて、容易く……。
ああ、なんだか、視界がぼやけてきた。なんだこれは目から汗が出できたぜ……。、

しかし遅いなぁ二人は。俺の目からの汗が、終わっても出てこない。どうしたんだろうか。

どう突入するかを考えていると、やっと二人は出てきた。
「あっ、お兄ちゃん。」
「おぅ、お、遅かったなぁ。」
「う、うん。」

妹は真っ赤になった。もうそれは顔から火が出るぐらいに。
やっぱり俺が想像したような、あーんなことや、こーんなことを……。
くそう、俺ですらまだなのにぃ。妹に先を越されるとは……。

少し落ち込みながら、台所へ向かう。俺らがあまりにも遅いのか、先に親は食べ始めている。
妹が味噌汁とかご飯を後から来た3人分をさっさと準備して、もう食べ始めてる。

「はい、あーん。」
「……えっ、いいよ。」
「はい、あーん。」
「……だから、いいって、自分で食べるから。」
「はいっ、あーーーーん。」
「ぐっ……、あ、あーん……。」

またいつもの光景が、そこには広がっている。毎度おなじみの、あーん、だ。
結城君は、いつも拒否をするが、妹の圧力に押され、最終的には、あーん、してしまう。
すでにこの二人の関係図は見て取れた。結城君、がんばれ、と心の中からエールを送る。

もう、9時を過ぎている。明日もまた朝から仕事があるからそろそろ寝る準備を考えるのだが、
今の俺にはひとつ気になることがあった。いや、純粋には興味があることなのだが。

二人は果たして何をやってるのか

である。邪な気持ちなど無い。ただの興味なのだ。別に、見たいとかじゃない、見たいとかじゃないからな。
俺は、そのことを知るために、寝ることにした。
二人はもう寝ているみたいだったから。


次の日、俺は昨日と同じ時間に、同じ場所に立っている。
すでに二人がこの部屋に昨日と同じようにしているのを、扉に耳を当てて聞いている。
傍から見れば、俺って、危ないやつだなぁ。なんだろう、ものすごく、虚空間が。

ええぃ、とりあえず、突入するぞ。

俺はノックをせず、結城君の部屋に入った。
そこで待っていたのは、

「……っは、ゆ、結城君、榛奈。」
「……た、立秋さん。」
「えっ、お、お兄ちゃん……。」

ベットの上で寝そべってマッサージを受けている榛奈と、マッサージをしてる結城君の姿だった。

「お、お兄ちゃん!出てってよ〜〜〜〜!」
顔真っ赤にして榛奈は怒り出した。結構怖い。

「し、失礼しましたっ!」

俺は身の危険を察知し、素早く部屋から出て行った。扉を閉めたと同時に、何かが扉に当たる音が聞こえた。
間一髪だったようだ。

ちなみに、その後の夕飯で榛奈の視線がひどく痛く、結城君が苦笑いをしながら、こっちをみているのは今でも覚えている。
















あとがき
まず、すいません。こんな駄文を待っている人なんているなんていないとは思いますが、
もし万が一待っている方がいらっしゃるなら、すいませんでした。
この4ヶ月、学校のほうが大変で、なかなか筆をとる時間がありませんでした。
これからもがんばって行きたいと思いますので、よろしくお願いします。